AMPSの特徴

AMPSの長所

1)AMPSは作業療法特有の評価法である。
2)AMPSは46,886人のデータをもとに、国際的にも、異文化間でも十分に標準化された評価法である。
3)作業遂行について何らかの配慮が必要な、3歳以上の子供、青少年、大人、高齢者と、年齢に関わらず誰でもがAMPS施行対象者となりえる。
4)診断名(疾患)や能力障害の原因に関わらず、誰にでもAMPSは使用可能。
5)AMPSは、対象者自身が遂行したい・する必要のあるADL/IADL課題をするための能力を評価するという、作業遂行のテストである。
6)AMPSでは
(a)対象者の日常生活でのニードに関わりがあり且つ馴染みのある課題で、
(b)対象者が遂行する課題の難易度に基づき評価を行うため、対象者本人が評価のために遂行する課題を選択できるようにデザインされている。人は選択権を与えられ、自分の意志に合った課題を遂行することにより、その課題遂行能力を最大限に引き出せる。
7)評価には特別な道具や器具を必要とせず、おおよそ30‐40分で施行可能 。
8)AMPSは86課題あるリストから、対象者が馴染のある課題を2課題遂行するだけで、その対象者の能力と遂行の質を評価可能。
9)AMPSを開発した測定モデルは、
(a)対象者が遂行した課題の難易度と、
(b)遂行を観察した評価者の評価者寛厳度を考慮に入れながら、対象者の運動技能とプロセス技能能力を決定することができる。
10)AMPSはユニークなデザインなので、1回目と2回目の評価で異なる課題を対象者が遂行しても,対象者の能力の変化を比較できる.また同様に、異なったAMPS課題を遂行した幾人かの対象者同士を比較することも可能。
11)AMPSは作業療法臨床家に効率の良い治療計画や対象者の変化を文書化するのにパワフルでセンシティヴな道具である。従って、また、AMPSは研究にも理想的な道具といえる。


AMPSの短所

1)3歳未満(あるいは同等の発達レベル)のクライエントあるいは、単純な日常生活課題をも遂行したくないクライエントは評価できない。
2)AMPSを治療効果、質の保証、あるいは研究を文書化するのに使用する場合は、コンピュータ採点がなされなければならない。対象者の遂行を採点する評価者の寛厳度や遂行した課題の難易度を考慮し、対象者のADL/IADL運動とプロセス技能能力測定値を計算するのに、コンピュータ採点は必要なのである。治療効果や研究を文書化するのに、技能項目ごとの得点を使用することはAMPSでは意味のないことである。
3)AMPSのコンピュータ採点ソフトは、講習会参加者のみに提供される。
4)対象者の能力測定時に、評価者の寛厳度を考慮に入れることから、講習会参加者であっても、評価者換算の必要条件を満たすまで、対象者のADL/IADL運動およびプロセス技能能力測定値が表されるAMPSグラフィック報告書は得ることができない。


評価者トレーニングと評価者換算の必要条件

AMPSを開発する過程で、妥当性があり信頼性のある施行と解釈のために、AMPSに興味の有る作業療法士は(a)講習会に参加し、(b)評価者として換算されることが条件となった。
5日間の講習会では、AMPSの理論的基盤に関係した重要な情報と、実際に体験しながらAMPS施行と採点方法を学ぶ。
評価者換算には、評価者候補者は講習会中にビデオテープでAMPS観察による採点を行い、講習会後10名の生観察によるデータを提出すること、が必要である。
AMPSトレーニングの不可欠な構成要素は、講習会中に採点方法の実用的な経験を積むことと、評価者換算手続きを完了させることことである。
評価者換算は、その評価者が本当に信頼のある採点をしているかどうかを決定するのに必要なことである。
また、評価者換算ではAMPSコンピュータ採点ソフトに使用する、対象者のADL/IADL運動とプロセス技能能力測定値を調整するのに必要なそれぞれの評価者の寛厳度を算出している。